妊婦の栄養と健康管理
2018.03.30

妊娠中のつらい便秘を解消するには?対策と注意点

妊娠中は、体形やホルモンバランスの変化、ストレスなどによる自律神経の乱れ、運動量の低下などによりふだんよりも便秘になる可能性が高くなります。妊娠中の便秘の解消法や対策を知り、少しでもストレスのない妊娠期を過ごしましょう。

妊娠中の便秘によるストレスを少しでも軽減できるように、解消法や対策を解説します。

妊娠中の便秘の解消法

妊娠中に便秘が続くと、そのことによって余計に不安やストレスを感じることにつながります。あまりにも便秘がつらい時は、かかりつけ医に相談し薬を処方してもらうことも可能ですが、「妊娠中はできるだけ薬を飲みたくない」、「そもそも便秘で悩みたくない」と思っている方は多いのではないでしょうか。ここでは、家庭でできる便秘の解消や予防に有効な対策法を紹介します。

食物繊維の多い食品を摂る

食物繊維は人の消化酵素では消化されずに、小腸を通過して大腸まで達する食品成分です[1]。便量を増やす材料となることや大腸内の腸内細菌に利用されることなどから、便秘予防に効果があることが知られています。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。この2つは性質も役割も違うので、両方バランスよく摂ることを心がけましょう。

不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、水に溶けにくい性質があります。このことから胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、便の量を増やすとともに腸を刺激して消化管運動を活発にし、便通を促進します。不溶性食物繊維は、乾物や繊維の固い野菜、豆類などに多く含まれています[2]。シリアルやグラノーラなどは朝食の代わりにもなり手軽に食物繊維を摂ることができます。また、間食を選ぶ際は「小豆」や「きな粉」が使われたものがおすすめです。

ただし、不溶性食物繊維を摂りすぎた場合、水分が十分に摂取されていないと逆に便の水分が吸収され、便が硬くなってしまい症状が悪化する場合があるので、不溶性食物繊維を食べるときは水分もしっかり摂るようにしましょう。

水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、名前の通り水に溶ける性質があります。水分を保持して便を柔らかくする働きがあります。また、大腸の腸内細菌によって発酵・分解され、善玉菌のえさとなることで善玉菌が増えるため、腸内環境を整えてくれます。水溶性食物繊維は、果物、繊維のやわらかい野菜、芋類などに多く含まれています[2]。スーパーやコンビニ等で食事を購入する際は、海藻サラダやおくらや長芋の入ったネバネバサラダを1品に加えるとよいでしょう。間食には水溶性食物繊維が豊富な「寒天」がおすすめです。

また、ドライフルーツは不溶性、水溶性どちらの食物繊維も豊富に含まれており、手軽に食べられるので間食等におすすめです。ただし、生の果物よりも糖分が多くなりがちなので食べすぎには注意しましょう。

通常の食生活では摂り過ぎることは少ないですが、サプリメントなどで多量に摂り過ぎるとミネラルなどの吸収を妨げることもあるため注意が必要です[3]。

水分補給
水分が十分に摂れていないと、便が硬くなり便秘の原因になる場合があります。また、すでに述べたように、不溶性食物繊維をたくさん摂取する場合にも十分な水分が必要になるので、こまめな水分補給を心がけましょう。「ごぼう茶」や「黒豆茶」など、ノンカフェインで食物繊維が豊富なお茶を利用するのもよいでしょう。

適度な運動

妊娠中は流産や早産の心配から活発な行動を控えるようになったり、つわりやおなかが大きくなることで動くことがおっくうに感じたりすることもありますよね。活動量が低下すると腸の運動が衰え、便秘の原因になることもあります。腸の動きを活性化させるために、医師と相談しながら無理のない範囲で運動量を増やしていきましょう。ウォーキングやマタニティエクササイズなどは気分転換にもなりおすすめです。ただし、運動中に体調の異変を感じたらすぐに運動を中止し、安静にしましょう。症状が長引く場合は受診が必要です。

プロバイオティクスが便秘の解消に効果的?

2017年10月に、日本消化器病学会が出した国内初の「慢性便秘症診療ガイドライン」では、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌である「プロバイオティクス」の摂取を推奨しています[4]。プロバイオティクスが含まれる食品や飲み物を積極的に取り入れ、腸内環境を整えることで便秘を解消しましょう。ただし、1度摂取したプロバイオティクスがずっと腸内にすみ続けるのではないので、毎日継続して摂ることが大切です[5]。

プロバイオティクスを摂るには

ヨーグルト
プロバイオティクスといえばヨーグルトを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ヨーグルトは手軽に食べられるので、食後のデザートや間食にも利用しやすいです。飲料タイプのものなど、さまざまな種類があるので、自分好みのヨーグルトを見つけることを楽しみながら食べることもできます。
発酵食品
乳酸菌は古くから世界中でさまざまな発酵食品に使われてきました。漬物やキムチ、チーズ、味噌などはその例です。ただし、血圧が心配な方は塩分の摂りすぎにならないよう気をつけましょう。
サプリメント
錠剤やカプセルが多いため、時間や場所を選ばず摂ることができ、飽きずに続けやすいと言えます。余分なカロリー摂取を控えることができるという点も魅力です。また、私たちの腸内にいる善玉菌を増やすとされるオリゴ糖や食物繊維が含まれている乳酸菌サプリメントもあります。

まとめ

妊娠中はさまざまな理由で便秘になりやすいもの。プロバイオティクスを摂れば手軽に便秘が解消されるイメージがある人もいることでしょう。しかし、プロバイオティクスはあくまでサポートとして利用しましょう。便秘を防ぐには、十分な量のバランスのとれた食事をとること、水分をとること、運動不足を避けるなど、生活習慣についてトータルで見直すことが必要です。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. "食物繊維の必要性と健康" e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html(参照2018-02-12)
  2. [2]国立がん研究センター東病院 栄養管理室. "下痢・便秘がある方のお食事" 国立がんセンター東病院. https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/info/seminar/2016/pdf/176.pdf(参照2018-02-10)
  3. [3]日本健康・栄養食品協会. "ミネラルの吸収を助ける" 日本健康・栄養食品協会ウェブサイト. http://www.jhnfa.org/mineraru-0.html(参照2018-02-12)
  4. [4]日本消化器病学会関連研究会ほか. 慢性便秘症診療ガイドライン2017, 南江堂. 2017; 62-63
  5. [5]厚生労働省. "腸内細菌と健康" e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html(参照2018-02-20)

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