妊婦の栄養と健康管理
2018.03.30

妊婦はサプリメントを摂るべき?摂取時期とメリット・注意点

妊娠中はママの健康と赤ちゃんの成長のために、栄養バランスの取れた食事を基本としつつ、さらに栄養をプラスする必要があります。妊娠前と比べて多く摂るべき栄養素にはどのようなものがあるでしょうか。ドクター監修の記事で解説します。

厚生労働省では、妊娠中にすこやかな栄養状態を維持し、より安全に出産をするための食事摂取基準を定めています。妊娠前と比べて多く摂るべき栄養素や、サプリメントのとり入れ方について確認していきましょう。

妊娠中に通常時より多く摂るべき栄養素

妊娠時にふだんより多く摂る必要がある栄養素の中で、特にその量(付加量)が多く積極的に摂取したい栄養素をご紹介します。

葉酸

血液や神経などの細胞の増殖や臓器の形成に重要な役割を果たしており、不足すると神経管閉鎖障害の発症リスクが高まります。厚生労働省では妊娠前から摂取することで発症リスクを低減できるとして、1日400㎍の摂取が推奨されています[1]。摂取タイミングとしては、諸説ありますが、妊娠1か月以上前から妊娠3か月頃がのぞましいという意見が多いとされています。葉酸単独で摂取しても効果は少ないので、他のビタミンB群と同時に摂取するとよいでしょう。

鉄分

妊娠中に鉄が不足すると、妊婦貧血になり早産や低出生体重のリスクを高めます。妊娠初期の付加量は2.5mgですが、妊娠中期以降は+15mg/日です[2]。出産に向けて血液量が増えるので、妊婦貧血の予防のために妊娠中期以降は付加量が多くなっています。

マグネシウム

不足すると低マグネシウム血症が起き、吐き気、眠気、脱力感、食欲不振などの症状があらわれます。一方、カルシウムの吸収や働きを助ける役割もあります。カルシウム不足は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の原因となるほか、妊娠高血圧症につながる可能性もありますので、カルシウムと一緒に摂りましょう。推奨摂取量は+40mg/日です[2]。

カルシウムの付加量は設定されていませんが、不足しがちな栄養素なので、積極的に摂るようにしましょう。

亜鉛

妊娠中の亜鉛不足は、胎児の奇形や発育不良の原因になる可能性があります。生殖機能を維持する役割もあるので、妊活中から摂取するとよいでしょう。推奨摂取量は+2mg/日です[2]。

ヨウ素

赤ちゃんの成長や発達に関係する甲状腺ホルモンを構成しており、妊娠中に不足すると流産や胎児の先天異常、先天性甲状腺機能低下症を引き起こすおそれがあります[3]。推奨摂取量は+110㎍/日ですが[2]、過剰摂取は新生児の甲状腺機能低下の原因となるので注意が必要です[3]。

ビタミンA

特に妊娠初期の過剰摂取は赤ちゃんの形態異常を引き起こす可能性があるため、摂り過ぎに注意しましょう。日常的には皮膚や粘膜、視力の正常化、免疫機能、生殖機能の維持などに関係しています。妊娠初期・中期は付加量はなく、妊娠後期は+80㎍RAE/日の付加が推奨されています。最後の3か月で一気に赤ちゃんに貯蓄されるので、妊娠後期に付加量が設定されています[2]。

※妊娠中に積極的に摂取したい栄養素については、『妊娠中に必要な栄養素とおすすめレシピ』でも詳しく紹介しています。

妊娠中の栄養はサプリで効率的に摂取

妊娠中に必要な一日分の栄養素については、食事からだけでは推奨量を十分に摂るのが難しいのが現状です。

3食分、自分で栄養計算をしながら作れたら理想的ですが、仕事などでなかなか食事を作る時間がなかったり、外食やお惣菜などを買って済ませることもよくあると思います。そんなときは、サプリメントを活用して1日に必要な摂取量を摂ることをおすすめします。

ただし、サプリで摂ったほうがいいものとサプリで摂る必要のないものがありますのでご紹介します。

サプリで摂りたい栄養素

葉酸
食べ物に含まれる葉酸は小腸で吸収されるまでの過程でさまざまな影響を受けるため、体内で利用できるのは50%に過ぎません。一方、サプリメントは食品中の葉酸と構造が異なり安定しているので利用率も85%に上がります[1]。
鉄分
動物性食品に含まれるヘム鉄は15~35%程度、植物性食品に含まれる非ヘム鉄は2~20%程度の吸収率しかありません[4]。カフェインは鉄の吸収を妨げるので、飲み過ぎないようにしましょう。貧血がある場合やつわりなどで食事をあまり食べられないときは、サプリメントを利用するとよいでしょう。
マグネシウム
食事からの摂取に比べ、サプリメントで摂取すると吸収率も上がります。カルシウムの働きを助ける役割があるので不足しがちなときは利用しましょう。ただし過剰摂取とならないよう、サプリメントで摂る際には、360mg/日を超えないように注意することが大切です[5]。
カルシウム
カルシウムの吸収率は、年齢およびライフステージで変わります。新生児および乳幼児では、正味のカルシウム吸収率は60%ですが、成人期には15~20%まで低下し(ただし妊娠中は増加します)、加齢にともない低下していくとされています。また、食べ合わせによっても吸収率は変わってきてしまいます[5]。妊娠中にカルシウムが不足すると、赤ちゃんの発育だけでなく、ママの骨もすかすかになったり、気分がイライラしやすくなります。食事からだけでは摂取量に足りていないと感じたときは、サプリメントも利用するとよいでしょう。
亜鉛
摂取量によって変わるとされますが、小腸での吸収率はおよそ30%といわれています[6]。過剰摂取は悪影響もあるため、食事から十分に摂れていないときにサプリを利用するようにしましょう。

サプリで摂る必要のない栄養素

ヨウ素
昆布に多く含まれていて、少しの量で1日の摂取量を十分摂ることができます。粉末だしやだし入り味噌にも含まれているので、出汁を使ったり味噌汁を飲む文化がある日本ではサプリで補う必要はありません。
ビタミンA
妊娠初期の過剰摂取は、胎児の発育に影響を及ぼす可能性があります。通常の食事では過剰摂取になることはありませんのでサプリは必要ありません。

まとめ

足りない栄養素を補うのに便利なサプリメントですが、商品のパッケージや添付用紙に記載されている1日の摂取目安量・飲み方などを確認して正しく利用するようにしましょう。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. "神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について" 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-03c.pdf(参照2018-02-28)
  2. [2]日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会. “「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書” 厚生労働省ウェブサイト. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114401.pdf(参照2018-02-28)
  3. [3]厚生労働省. “6.2.5. ヨウ素(I)” 厚生労働省ウェブサイト. http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4al.pdf(参照2018-02-28)
  4. [4]厚生労働省. “鉄 Iron” 「統合医療」情報発信サイト. http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/07.html(参照2018-02-28)
  5. [5]厚生労働省. “1-7 ミネラル” 厚生労働省ウェブサイト. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114400.pdf(参照2018-02-28)
  6. [6]厚生労働省. “6.2.2. 亜鉛(Zn)” 厚生労働省ウェブサイト. http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4ai.pdf(参照2018-02-28)

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