妊婦の栄養と健康管理
2018.03.30

妊娠中の理想の体重増加目安とは?増えすぎたらどうする?

妊娠するとホルモンバランスの乱れなどから食欲が変化することがあります。しかし、体重の増加により妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などを引き起こすことがあるため、適切に管理することが大切です。正しい体重増加量や、体重管理のための食事方法や運動をご紹介します。

妊娠中の体重はどのくらいまで増えるのが適当なのでしょうか。また、増えすぎてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。体重増加の目安や体重の管理方法について見ていきます。

体重増加の目安とは?どのくらいまで大丈夫?

妊娠中は体重が増えていくのが当然なのですが、どれくらいの変化が適当なのでしょうか。近年、女性の体格が大きく変化しているため、厚生労働省では妊娠前の体格もふまえた体重増加の目安量を定義しています[1]。

妊娠中の体重増加の推奨値

体格を表す「BMI」という数値をご存知でしょうか。計算の仕方はBMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)

となっています。身長を「cm」ではなく「m」で計算します。そして、出た数値がBMIです。その数値と体重増加を表すと次のようになります。

  • BMI<18.5(やせ)適正増加量9~12kg
  • BMI18.5~25(普通)適正増加量7~12kg
  • BMI≧25(肥満) 個別対応

このようなことからも、妊娠前から体重を測る習慣をつけて、BMIを25以下になるような体重を保つ努力をすることも大切です[1]。

目安よりも体重が増えてしまった!減らす方法はある?

いくら体重オーバーしてしまったからといって、極端な食事制限をしてしまっては、赤ちゃんにもママにも栄養不足となってしまう可能性が高まり、早産や胎児発達への影響も出てしまうことがあります[1]。必要な食事量をきちんと摂り、動くことにより消費量のバランスをとり、20時以降の食事をひかえるなど体重が増えすぎないように気をつけていくことが大切です。

栄養バランスの取れた食事とは

栄養バランスについては厚生労働省から「妊産婦のための食事バランスガイド」が出ているので、参考にするとよいでしょう。妊娠していない場合の食事にプラスする食材とその量が示されていますが、体重の増加率が大きい場合には食事量を見直す必要があります。妊娠中期は副菜、主菜、果物がプラスされます。さらに妊娠末期や授乳期には妊娠中期にプラスした副菜、主菜、果物はそのままプラスし、さらに主菜、乳製品をプラスして栄養量を増やす必要があります。[2]。

不足しがちなビタミン、ミネラルは「副菜」で摂取するようにしましょう。特に妊娠中に必要な葉酸、亜鉛、鉄、カルシウム摂取のためには、野菜、果物、海藻、乳製品などをバランスよくとることが必要です。主菜は肉・魚・卵・大豆製品を使った料理になりますが、低脂肪の部位を使う、調理法は油を使わないようにするのがよいでしょう。鶏肉ならささみやむね肉、豚肉・牛肉はばら肉を控えて、モモ肉やヒレ肉にしたり、肉類よりも大豆製品の割合を増やしたりするのもよいでしょう。

栄養不足を気にするあまり、サプリメントを使用することもあるかもしれません。特に不足しやすいビタミンはサプリメントを利用すると簡単にとることができ、「ビタミン欠乏症」を予防することができます。

しかし、その中で気をつけてもらいたいのが、脂溶性ビタミン。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKです。これらは、摂りすぎの場合、体の中の脂肪や、妊娠中の場合は赤ちゃんに蓄えられてしまうことがあり、まれに「ビタミン過剰症」という健康被害が起こることがあります[3]。通常の食事だけで過剰症が起こることはほとんどありませんが、サプリメントを利用していて飲み過ぎてしまった場合、意外と簡単に摂り過ぎてしまうことがあるということも頭に入れておきましょう。

一方、水溶性ビタミンのサプリメントは摂り過ぎても、ある程度は尿として排出されるとされています。しかし、できるだけふだんの食事を見直して不足する栄養素が出ないように、バランスをとるようにしたいものです。

摂取カロリーを抑えながら栄養も摂れる食事とは

摂取カロリーを抑えるためには、食品の選び方、調理法、食べる順番や時間帯を考えるとよいでしょう。

食品の選び方は低脂肪のもの、食物繊維が多くとれるものを多く選ぶようにしましょう。主食はなるべく精製度の低いものを選ぶのもおすすめです。パン食よりもご飯食の方が脂肪を抑えることができます。白米を玄米に変えたり、麦などを混ぜたりして炊くのもよいでしょう。

野菜は生野菜と温野菜、それぞれによい部分があるので、バランスよく食べたいものです。その他、海藻、きのこ類をたっぷり使った副菜もとるようにしましょう。調理法は油を使わない、煮る、蒸すことを中心に、電子レンジを利用するのもよいでしょう。そして、野菜や海藻などの食物繊維の多い食材から食べ始めることも有効です。「ベジ(タブル)ファースト」といって、そのあとに食べた糖分などの吸収をゆるやかにしてくれるため太りにくい食べ方と言えます[4]。

また、菓子類や果物などの間食を摂るタイミングは、活動前・運動前にした方が太りにくくなります。外食では和食の定食タイプのものがおすすめです。野菜、海藻、きのこ類など、たくさんの食材がつかわれているメニューを選ぶ習慣をつけるとよいでしょう。

妊娠中の運動は有酸素運動がおすすめ

妊娠中は体の変化やつわりなどもあり、動くよりも寝ていたいという気分になることもあるでしょう。しかし、動かないことが続くと、筋力が低下してしまい疲れやすくなって、さらに動きたくない…という悪循環になり、気づいたときに体重オーバーということになりかねません。

運動をすると、出産に向けて体力をつけることができ、太りにくい体となることも期待できるため、出産後の体形が戻りやすいともいわれています。おすすめの運動としては、エアロビクスダンス、水泳・アクアビクス・アクアウォーキングなどのアクアエクササイズ、ウォーキング、ジョギング、ヨガ、ピラティスなど、有酸素運動といわれるものです。さらに、運動をすることで体が心地よさを感じ、リラックス効果も期待できるので、赤ちゃんにもよい影響となります[6]。

なお、おなかに張りを覚えたり違和感があったりする方、胎盤の位置の低い方などは主治医に相談していくようにしてください。

まとめ

妊娠は病気ではありませんが、いつもとは違う体調となります。好きだったものが食べたくなくなったり、反対にそれほど気にしていなかったものばかり食べたくなったりすることもよくあります。その欲望にしたがうことも大切ですが、やはり体重増加は適正(単純に4週間1kg、2週間500g、1週間250gが目安)にコントロールすることが元気な赤ちゃん、そして、ママのためには大切ということも忘れずに妊娠期間を過ごしたいものです。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. "「妊娠期の至適体重増加チャート」について" 厚生労働省ウェブサイト. http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a4.pdf(参照2018-02-14) 
  2. [2]厚生労働省. "妊産婦のための食事バランスガイド" 厚生労働省ウェブサイト. http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf(参照2018-02-14) 
  3. [3]厚生労働省. "「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書 1-6ビタミン" 厚生労働省ウェブサイト. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf#search=%27%E8%84%82%E6%BA%B6%E6%80%A7%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3+%E9%81%8E%E5%89%B0%E5%B0%91%27(参照2018-02-14)
  4. [4]今井佐恵子. "野菜から食べる「食べる順番」の効果" 大阪府栄養士会. http://www.osaka-eiyoushikai.or.jp/whats_new/pdf/wn_112.pdf(参照2018-02-14)
  5. [5]厚生労働省. "マタニティエクササイズ" e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-084.html(参照2018-02-14)

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