肌荒れ
2018.03.30

肌フローラと腸内フローラの役割

人の体には常在菌と呼ばれるさまざまな菌が生息しています。細菌の集まりが花畑(flora)のように見えることから、「フローラ」と呼ばれることもあります。ここでは、肌と腸内に生息する細菌の種類と働きについてお伝えします。

鏡を見てほほえむ女性

皮膚や消化器官、口腔、鼻腔など、人の体にはさまざまな場所に菌が生息しており、体を守るなどの働きをしています。細菌叢と呼ばれる細菌の集まりがお花畑に見えることから、フローラと呼ばれることも多くなりました。ここでは、肌と腸内に生息する細菌の種類と、その役割や働きについてお伝えします。

肌フローラ(皮膚常在菌叢)とは

健康な人の肌表面に常在している細菌の集りを、肌フローラ(皮膚常在菌叢)と言います。その数は腸内に次いで2番目に多いとされます[1]。主な皮膚常在菌には、以下のものがあります[2]。

・プロピオニバクテリウム属
・スタフィロコッカス属
・コリネバクテリウム属
・ミクロコッカス属
・ピチロスポルス属
・ペプトコッカス属
・ペプトストレプトコッカス属

中でも代表的な皮膚常在菌を紹介します。

アクネ菌(プロピオニバクテリウム属)

皮膚にもっとも多く常在する菌です。酸素がある場所では増殖できない嫌気性菌の仲間であり、皮脂を好むため、肌の表面ではなく皮脂腺や毛穴に存在します。皮脂を分解してプロピオン酸(脂肪酸の一種)とグリセリンを作ることで、肌を弱酸性に保つ働きをします。

これにより、アルカリ性を好む病原性の強い菌の増殖を抑える働きをします。ただし、皮脂の分泌量が増えたり毛穴がふさがると過剰に増殖し、炎症が起きてニキビの原因となります。

表皮ブドウ球菌(スタフィロコッカス属)

人や動物の皮膚や毛穴、腸内、口腔、鼻などに存在する菌です。汗や皮脂をエサにして、グリセリンや脂肪酸を作り出す働きがあります。アクネ菌が排出する脂肪酸とあわせて皮脂膜を形成し、皮膚表面を弱酸性に保つことで黄色ブドウ球菌やカビなどの増殖を防ぎます。また、グリセリンには皮膚のバリア機能を保つ役割もあります。

黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス属)

環境などによって一時的に肌に定住する通過菌のひとつですが、健康な人の特定部位からは一定して検出されることも多いため、このような菌も広義の意味で常在菌とされています[3]。黄色ブドウ球菌は、肌の表面や毛穴に存在します。皮膚がアルカリ性に傾くと増殖して皮膚炎を起こします。また、傷の化膿や悪化の原因菌にもなります。

このように、場合によっては肌荒れの原因になることもありますが、皮膚常在菌は乾燥や炎症から肌を守ったり、悪臭の原因となり得る細菌の増殖を抑えることで、私たちの肌を健康に保つ働きをしています。

腸内フローラ(腸内細菌叢)とは

人の腸管(主に大腸)には100種類以上、数にして100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。これを、腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼びます。悪玉菌、善玉菌、そのどちらでもない中間菌(日和見菌)で構成されており、互いにバランスを取りながら生息しています。それぞれの特徴を見ていきましょう。

善玉菌

善玉菌は、腸内で乳酸や酢酸などを作り出して腸内を酸性にし、悪玉菌の過剰な増殖を抑える働きをしています。また、ビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸など)を産生したり、消化管の粘膜免疫を高める役も担っています。

代表的な善玉菌には、ビフィズス菌と乳酸菌があります。さまざまな種類(株)がありますが、主にビタミンの吸収、消化吸収の補助、感染防御、免疫刺激などの作用を持ち、健康維持や老化防止などに影響する菌が多いとされています。

悪玉菌

細菌毒素や発がん物質を産生したり、ガスを発生させるなど、腸の働きを悪くする菌です。悪玉菌が優勢となって腸内環境が悪化すると、病気や老化促進の原因となる場合があります。代表的な悪玉菌には、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、大腸菌(有毒株)などがあります。

中間菌(日和見菌)

善玉菌と悪玉菌のどちらにも属さない菌です。善玉菌が優勢なときは何もしませんが、悪玉菌が優勢になると腸に悪い働きをすることがあります。代表的な菌には、連鎖球菌、バクテロイデス、大腸菌(無毒株)などがあります。

このように、理想的な腸内環境のためには悪玉菌より善玉菌が優勢になる必要があります。偏った食事や不規則な生活、ストレスなどが続くと悪玉菌が優勢となり、腸内環境が乱れて便秘などのトラブルが起こりやすくなります。

肌フローラ・腸内フローラを整える必要性

健康な肌や体を維持するには、細菌叢(フローラ)のバランスが整っていなければなりません。たとえば肌では、皮膚を弱酸性に保つ働きをする表皮ぶどう球菌が減ってしまうとアルカリ性を好む細菌が増殖しやすくなり、肌トラブルにつながります。また、アクネ菌が増殖しすぎるとニキビの原因となります。

肌フローラのバランスを保つには、何よりも毎日の正しいスキンケアが大切です。怠らないことはもちろん、まちがった方法で行わないよう常に意識しましょう。正しいスキンケアの方法について、詳しくは『肌フローラとは?皮膚常在菌のバランスを保つ方法』をご覧ください。

腸内フローラを整えることは、健康的な生活を送るうえでとても重要です。腸内フローラが整うことで腸の働きが活発になり、便秘の予防・改善だけでなく、食中毒や感染症の予防、発がん性を持つ腐敗産物の産生抑制、消化管の粘膜免疫の向上などにつながるからです。

腸内フローラは年齢、食生活や生活習慣によって変化します。それぞれの年代の菌数の割合は違いますが、年をとるにつれて悪玉菌の割合は増えやすいといわれています。腸内フローラを整える=善玉菌の割合を増やすには、大きく分けて2通りの方法があります。

1つは、ビフィズス菌や乳酸菌を外から補う方法です。これらは、ヨーグルトや乳酸菌(およびビフィズス菌)飲料、納豆や漬物、味噌、キムチなどの発酵食品に多く含まれます。

2つ目は、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂取し、腸内に生息する善玉菌の増殖をサポートする方法です。食物繊維やオリゴ糖は野菜、果物、豆類に多く含まれています。

この他、バランスのよい食生活や規則正しい生活習慣、ストレスをためない生活なども大切です。

まとめ

細菌の集合体である細菌叢(=フローラ)は、体の健康を支える重要な働きをしています。ただし、理想的なバランスが崩れると、むしろ体に害をなす場合があります。肌や体の健康を保つためには、細菌叢のバランスが常に理想的に保たれる必要があります。スキンケアの方法や習慣、食生活や生活習慣を見直し、肌と体の健康を維持すべく努めましょう。

参考文献

  1. [1]ヒト細菌フローラマップ/東京工業大学基金事業 http://www.jchm.jp/humanFloraMap.pdf
  2. [2]手荒れと手指衛生の科学/花王株式会社 http://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/01/01_07.pdf
  3. [3]日本化粧品技術者会 http://www.sccj-ifscc.com/terms/detail.php?id=265

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