ロタウイルスとノロウイルス
2018.02.28

ノロウイルスを予防する正しい殺菌方法

極めて強い感染力を持つノロウイルスを予防するには、適切な感染対策が必要です。食品や手指、調理器具などに付着したノロウイルスの正しい殺菌方法と、2次感染を予防するための消毒方法についてお伝えします。

強い感染力で集団感染を起こしやすいノロウイルス。しっかり予防するには、汚染の可能性がある食品を正しい方法で加熱処理する必要があります。また、手指はもちろん、調理器具や患者が触れたものの正しい洗浄・消毒も不可欠です。感染率を下げるための正しい殺菌方法と、2次感染を予防する消毒方法についてお伝えします。

ノロウイルスの感染を予防する5つの方法

ノロウイルスは、主に手指に付着したものが口から入ったり、汚染された食品を介し感染したり、ヒトの腸管で増殖します。感染症を発症すると強烈な吐き気と嘔吐、下痢や腹痛などの症状が現れます。また、ウイルスの感染力が強く、家族など共同生活している人に感染が広がりやすい傾向があります。有効なワクチンはないので、特に流行時はしっかり対策しておく必要があります。感染を予防する効果的な5つの方法をご紹介します。[1]

食品の十分な加熱

一般的にウイルスは熱に弱いため、食品中のウイルス活性を失わせるには加熱処理が有効です。ただし、ノロウイルスはアルコールや熱に強いノンエンベロープウイルスなので、加熱には十分な温度と時間が必要です。厚生労働省では、ノロウイルスに汚染しやすい二枚貝等の食品は、中心部の温度が85~90℃で、90秒以上の加熱を推奨しています。中心部までしっかり火が通るよう、十分に加熱しましょう。

調理器具の正しい除菌・殺菌

先にも述べましたが、ノロウイルスにはアルコールや熱に強い特徴があります。そのため、他のウイルスと違い消毒用エタノールの効果は弱く、完全に死滅させるには次亜塩素酸ナトリウムの使用や加熱による処理が推奨されています。次亜塩素酸ナトリウムは、台所用塩素系漂白剤でも代用できます。また、包丁やまな板、布巾などの細かいキッチン用品は、煮沸消毒してもいいでしょう。その際は、85℃以上で1分以上加熱してください。

正しい手洗いと手指の消毒

手洗いは、手指に付着しているノロウイルスを物理的に除去することができます。石けんにノロウイルスを死滅させる効果はありませんが、汚れを落とすことでウイルスを手指から剥がしやすくする効果があります。帰宅時、調理前、食事の前、トイレに行った後は、必ず手洗いを徹底しましょう。

ノロウイルスは極めて小さいウイルスなので、手指のシワの奥まで入り込めます。よって、ウイルスを除去するにはこすり洗いを念入りに行うことが大切です。指先や指の付け根、指の間は汚れが残りやすいので、洗い忘れや洗い残しのないよう注意してください。親指から順にねじり洗いしていくといいでしょう。最後に、手首も忘れずに洗いましょう。すすぎは流水で十分に行い(冬は洗い残しのないよう温水での洗浄をおすすめします)、清潔なタオルやペーパータオルで水分をしっかり拭きとってください。ノロウイルス感染者の下痢や嘔吐物を処理したときは、特に念入りに行いましょう。ブラシなどを使用すれば、より効果的です。

ノロウイルスに有効とされる塩素系の消毒剤は、手指など人体に使用すると肌荒れを引き起こす可能性があるため、用いられません。手指の消毒には、消毒用エタノールを用いましょう。以前は、アルコールはノロウイルスにあまり効果がないとされていましたが、最近の研究である程度の消毒効果が期待できることが示唆され、ガイドラインも見直されています。[2][3]

消毒は、手指を十分に乾燥させた後に行いましょう。水分があると、エタノールが薄まることで効果が弱まります。手洗い同様、手のひらだけでなく、指や指の間、付け根、手の甲、手首にもしっかり擦り込んでください。手洗い後にあわせて使用すると、相乗効果が期待できます。

ただし、消毒が手洗いの代用にはなりません。消毒は手洗い後のプラスアルファとして行うか、すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合に行いましょう。あくまでも手洗いの補助的役割であることを忘れないでください。

感染者の排泄物(便)や嘔吐物の正しい処理

ノロウイルス感染者の排泄物(便)や嘔吐物には、大量のウイルスが含まれています。ここから2次感染が広がる場合も少なくないので、処理する際は十分に注意する必要があります。患者の排泄物や嘔吐物の正しい処理方法は、以下のとおりです。

・窓を開けて換気する。
・使い捨てのビニール手袋、マスク、エプロンを着用する。
・雑巾やいらないタオル、ペーパータオルなどで排泄物や嘔吐物を拭き取り、ビニール袋に入れる。このとき、ウイルスが飛び散らないよう丁寧に行う。
・全て拭き取ったら、濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウム(台所用漂白剤でも代用可)で床を拭き取る。
・最後に水拭きをする。

※1(ppm):parts per million(パーツ・パー・ミリオン)の略で、液体の微量な濃度を表す単位。1ppm=1mg=0.0001%で、100万分の1の割合を示す。

ノロウイルスは、乾燥すると空気中にただよい、簡単には落ちません。さまざまな場所に広がって感染を引き起こすリスクが高まるため、排泄物や嘔吐物は速やかに処理し、拭き残しのないよう注意しましょう。処理中にただよったウイルスが屋外に出て行くよう、処理後もある程度は窓を開けておき、空気の流れに注意しながら十分に喚気を行ってください。

排泄物や嘔吐物、拭き取った雑巾などを入れたビニール袋は密閉して破棄してください。その際、廃棄物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(この場合は1000ppm濃度がよい)をビニール袋に入れることが推奨されています。

排泄物や嘔吐物が布団などの布類に付着した場合は、以下のように対処してください。

・使い捨てのビニール手袋、マスク、エプロンを着用する。
・排泄物や嘔吐物をウイルスが飛び散らないよう丁寧に処理する(床での処理方法と同じです)。
・洗剤を入れた水に浸してもみ洗いする。
・下洗いしたものを、85℃以上で1分以上煮沸消毒する。あるいは、次亜塩素酸ナトリウム(および台所用漂白剤)で消毒する。

消毒が済んだ後は十分にすすぎ、しっかり乾かしましょう。高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果が高まります。布団など、すぐに洗濯できないものの場合は、よく乾燥させてスチームアイロンや布団乾燥機の熱で殺菌すると効果的です。下洗いした場所や洗面器なども、次亜塩素酸ナトリウムなどでしっかり消毒し、洗剤を使って掃除しましょう。

二次感染を防ぐための消毒

ウイルスは、感染者が触れたものや使用したものにも付着します。ノロウイルスは感染力が強いため、2次感染を防ぐには、これらもしっかり消毒する必要があります。特に、便座や洗面所、ドアノブ、感染者が使用すた食器や布団などは、常に殺菌を心がけましょう。

これらの消毒にも、やはり200ppm濃度の次亜塩素酸ナトリウムを使用します。台所用漂白剤で代用する場合は、キャップ半分弱(およそ2ml)の漂白剤を500mlペットボトル1杯の水に加えましょう。250倍希釈となり、200ppm濃度と同等の消毒液ができます。ちなみに、廃棄物を処理する際の袋に入れる1000ppm濃度の消毒液を台所用漂白剤で作る場合は、500mlペットボトル1杯の水にキャップ2杯(およそ10ml)の漂白剤を加えましょう。消毒液の入ったペットボトルは誤飲することのないよう、消毒液であることを大きく記載するなど、十分に注意してください。[4]

まとめ

ノロウイルスの殺菌には85℃以上で1分以上の加熱と次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が有効です。また、ノロウイルスは、主に汚染された食品を生や不十分な加熱のままで食べたり、手に付着したものが口から取り込まれたりすることで感染します。そのため、常に正しい手洗い徹底することも重要です。身近に感染者がいる場合は、洗う頻度や洗い方に特に意識しましょう。また、体の抵抗力が下がるとウイルスや細菌に感染しやすくなります。冬はノロウイルスだけでなく、インフルエンザなどさまざまな感染症が流行しやすい季節です。洗浄・殺菌とともに、生活習慣や食生活を見直し、ウイルスに負けない体をつくるよう努めましょう。

参考文献

  1. [1]ノロウイルスに関するQ&A 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000129187.pdf
  2. [2]ノロウイルスに係るエタノール使用ガイドライン 一般社団法人アルコール協会 http://www.alcohol.jp/download/noroguideline1.pdf
  3. [3]ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書平成27年度 国立医薬品食品衛生研究所 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000125854.pdf
  4. [4]消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)広島市 http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1265935032756/index.html

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