ロタウイルスとノロウイルス
2018.02.28

ノロウイルス胃腸炎の原因と感染経路

感染性胃腸炎のひとつであるノロウイルス。発症すると、激しい吐き気や嘔吐、下痢などのつらい症状を引き起こすため、日ごろから予防することが大切です。ノロウイルスが発生する原因と感染経路、流行しやすい時期についてお伝えします。

激しい吐き気や嘔吐、下痢などのつらい症状を引き起こすノロウイルス感染症。毎年発生が見られますが、なぜ感染症を防ぐことはできないのでしょうか。また、効果的な予防方法はあるのでしょうか。ノロウイルス感染症の原因となり得るものと感染経路、流行しやすい時期や予防法についてお伝えします。

ノロウイルスの特徴と流行の原因

ノロウイルス感染症がなくならないのには、ウイルスの特徴に原因があると考えられます。まずは、ノロウイルスの特徴について見ていきましょう。[1]

生存力が強い

ノロウイルスは、熱やアルコール消毒に対する抵抗力が強いノンエンベロープウイルスです。そのため、簡単には死滅したり活性が弱まりません。具体的には、短時間で死滅させるには200ppm(※1)以上の濃度のアルコール(および塩素イオン)が必要とされています。また、熱処理の場合は、85℃以上で1分以上の加熱が必要です。

ノロウイルスは乾燥にも強いため、感染力を長期間維持したまま空気中にただようことも可能です。とても微小なウイルスなので一度空気中にただようと簡単には落ちず、広範囲に広がりやすいという特徴もあります。

※1(ppm):parts per million(パーツ・パー・ミリオン)の略。液体の微量な濃度を表す単位で、100万分の1の割合を示す。1ppm=1mg=0.0001%

感染力が強い

ノロウイルス感染症を防げないもうひとつの理由に、その感染力があります。ノロウイルスは10~100個ほどの少量でも感染するほどとても感染力の強いウイルスです。また、長期免疫が獲得できないので、一度かかっても何度も感染するリスクがあります。さらに、ノロウイルスは微小であることから、手指に付着するとシワの奥まで入り込めます。そのため、しっかり洗い流さないと完全に除去できず、残ったウイルスによる感染の可能性が出てきてしまいます。

水の汚染を防げない

ノロウイルスは牡蠣(カキ)などの二枚貝に多く蓄積しますが、もともと二枚貝にノロウイルスはいません。人の便に含まれたノロウイルスが排水として下水処理場に流され、そこで除去しきれなかった一部が排水とともに海に流れ込みます。これにより牡蠣などが汚染され、ウイルスが蓄積します。下水処理場ではノロウイルスを含むほとんどの汚物が除去されますが、全てを除去するのは困難です。そのため、二枚貝などの汚染も防げません。

ノロウイルスの感染経路と食中毒の主な原因

それでは、次にノロウイルスの主な感染経路と、感染の原因となるものについてお伝えします。

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染経路は基本的には食べ物による経口感染ですが、主に以下の3つに分けられます。

・ノロウイルスを含む便・吐しゃ物などに触れた手を介して感染する場合。
・ノロウイルスに汚染された飲食物(二枚貝や水)を十分に加熱せず食べることで感染する場合。
・ウイルスに汚染された手で調理した食べ物を食べることで感染する場合。

この他、感染者からの飛沫感染(咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことで感染すること)により感染するケースもあります。

ノロウイルスに感染する原因

当然のことですが、ノロウイルスの感染はウイルスをしっかり除去しないことで起こります。感染症につながりやすいケースをまとめました。

・ノロウイルスに汚染された二枚貝などを生、または十分に加熱しないまま食べる。
・感染した人の手指などに付着したウイルスがドアノブなどの環境を汚染し、それに接触した手指から口に取り込まれる。
・感染者の排泄物(下痢)や吐しゃ物が飛び散り、その飛沫を吸い込む。
・感染者の吐しゃ物の処理が不十分で、ウイルスが乾燥して塵やほこりとなって空気中をただよい、口から取り込まれる。

食中毒の原因になりやすい食べ物

ノロウイルスに汚染されやすい代表的な食べ物としては、牡蠣、あさり、しじみなどの二枚貝が有名ですが、ノロウイルス感染症の原因になっている食べ物は他にもあります。感染源となりやすい食べ物には、刺身や寿司、サラダ、漬物、餅やまんじゅう、ケーキなど、人の手で直に触れて作り、かつその後加熱処理を行わないタイプのものが多いです。

ノロウイルスに関するQ&A

ここからは、実際にノロウイルス感染症になった場合の症状やウイルスの潜伏期間、死亡の有無など、ノロウイルス感染症に関する気になる点についてお伝えします。[2]

感染するとどのような症状が出る?

主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛です。他の胃腸炎の症状とほとんど変わりませんが、ノロウイルスの場合は吐き気が急に激しく起こるのが特徴とされます。発熱も見られますが、軽度です。この他、頭痛や筋肉痛などの症状が起こることもあります。通常は、1~2日で回復に向かい、後遺症もありません。

ただし、感染しても症状がほとんど出ない場合もあります。これを、不顕性感染と言います。症状が出なくても便などでウイルスは排出されるので、気づかないうちに感染を広げる危険性があります。身近な人に感染者がいる場合は、たとえ症状が出ていなくても感染の可能性を意識し、うがいや手洗いなどの予防を徹底しましょう。

ウイルスの潜伏期間は?

ノロウイルスの潜伏期間は、1~2日といわれています。ただし、症状が治まっても1~2週間(まれに1か月)は便にウイルスが含まれるので、注意しましょう。感染力の強いウイルスにも関わらず、感染後の具体的な自宅療養期間などは定められていません。学校や会社など、施設により条件が異なる場合がありますが、嘔吐や下痢などの全身症状が落ち着けば登園・登校・出勤は可能としていることが多いです。感染を広げないよう、手洗いなどの対策はしっかり行いましょう。

ノロウイルスで死亡することはある?

ほとんどの場合、ノロウイルスで死亡することはありません。抵抗力のある健康な成人であれば、すぐに回復するでしょう。ただし、抵抗力の低い小児や高齢者では、脱水症状や体力の消耗により重篤化するケースもあります。また、吐しゃ物を誤嚥(ごえん)して窒息する可能性もあるため、嘔吐が続いている間は注意が必要です。

集団感染はなぜ起こる?

集団感染は、集団生活を送る環境で起こりやすいです。これは、ウイルスの生存力と感染力が強いことから、感染者が出たときに対処を徹底しないと感染が広がりやすいためです。また、食品取扱者の衛生管理に不備があった場合、大量に生産された食品を介して集団感染するケースもあります。

ノロウイルスの主な流行時期は?予防はできる?

ノロウイルスは、一年を通して常に発生していますが、11月くらいから増加し始め、12月~翌年の1月に発症のピークを迎えることが多いです。予防方法としては、うがいや手洗いを徹底し、食品は十分加熱する(85℃以上で1分以上)、調理器具は十分に洗浄し、こまめに消毒を行うことです。また、体の抵抗力が下がると感染症にかかりやすくなるので、日ごろから免疫をつける生活を送ることも大切です。偏った食事や睡眠不足、ストレス、疲労などは免疫力を低下させる要因となるので、注意しましょう。

※ノロウイルスを予防する食事について、詳しくは『ノロウイルスを予防する食べ物とは』をご覧ください。

まとめ

ノロウイルスは生存力や感染力など、その特徴から感染を防ぐことが難しいウイルスです。手洗いや食品の加熱、調理器具の消毒など、日ごろから予防を意識した行動を心がけましょう。また、常に健康管理に気をつけ、感染症にかかりにくい体を作っておくことも大切です。バランスのよい食事や十分な睡眠、適度な運動など、できるだけ健康的な生活を心がけましょう。

参考文献

  1. [1]ノロウイルスによる食中毒はなぜ無くならないのか 愛知医科大学/医学部/公衆衛生学講座 http://www.mac.or.jp/mail/121001/01.shtml
  2. [2]ノロウイルスに関するQ&A 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

今すぐ読みたい

「ロタウイルスとノロウイルス」の関連情報

注目情報