ロタウイルスとノロウイルス
2017.11.30

ロタウイルス感染症の特徴と感染経路、対処法

ロタウイルスによる胃腸炎は乳幼児に多く、重症度によっては入院が必要になる場合もあります。ここでは、ロタウイルス感染症の症状と感染経路、ノロウイルス感染症との違い、治療や看護の方法についてご紹介します。

監修医師

監修 コロンビア内科 院長  小谷晃司先生

ロタウイルスによる胃腸炎は乳幼児に多く、重症度によっては入院が必要になる場合もあります。感染の予防と、感染後の重症化を防ぐために、ロタウイルスについて正しい知識を持ちましょう。ロタウイルス感染症の特徴と主な症状、ノロウイルス感染症との違いについてお伝えします。

ロタウイルス感染症の特徴と主な症状

まずは、ロタウイルス感染症がどのような感染症なのかについて説明します。

ロタウイルス感染症の特徴

流行時期
一般にウイルス性胃腸炎は2~5月にかけて流行しますが、ロタウイルス感染症はシーズン前半の2~3月に集中して流行する傾向があります。
感染しやすい年齢
0~6歳頃の乳幼児がかかりやすい病気です。特に生後6か月~2歳の子供に多く見られ、ほとんどの子供が5歳までに経験するといわれています。5歳までの急性胃腸炎のうち、およそ半分がロタウイルス感染症との報告もあります。子供の頃には幾度かくり返して感染、発症する可能性があります。大人の場合は感染しても発症することはほとんどありません。
ウイルスの特徴
ロタウイルスの感染力は大変強く、体内に10~100個ほど入っただけでも感染します。ちなみに便1g中には1億~100億ほどのウイルスが排出されます。また、ロタウイルスはノンエンベロープウイルスというアルコール消毒や熱に対する抵抗力が強いグループのウイルスです。ロタウイルスは感染しやすく、予防も難しい厄介なウイルスだと言えるでしょう。さらに、ロタウイルスの場合、原則的には一度の感染で免疫がつきますが、小児では不完全な場合があり、ときに再感染します。ある程度の免疫をもって再感染した場合には胃腸炎の症状自体は軽くなりますから、患者も周囲も警戒が薄くなって結果的に感染を拡大させてしまう可能性があり、特に流行時期には注意が必要となります。

ロタウイルス感染症の主な症状

ロタウイルス感染症の主な症状には、水のような下痢や嘔吐(おうと)、39℃以上の発熱などがあります。この他、腹部の不快感をともなうこともあります。下痢や嘔吐はしばしば激しく、脱水症状を来すこともあるので注意が必要です。重症化すると、まれに肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎などが合併することもあります。通常は、2~7日ほどで症状が治まります。発病中に意識の低下やけいれんなどの症状が見られたときは、すみやかに医療機関を受診してください。

ロタウイルスの感染経路と潜伏期間、登園の目安

ロタウイルスはどのようにして感染するのでしょうか。感染経路とウイルスの潜伏期間について見ていきましょう。

ロタウイルスの主な感染経路

ロタウイルスの主な感染経路は、経口感染と接触感染です。

経口感染
ロタウイルスに汚染された水や食べ物を口にすることでウイルスが消化管に入り、感染が起こります。
接触感染
ウイルスに汚染された手で感染者が触ったドアノブや手すり、タオル、おもちゃなどに非感染者が触れると、ウイルスが手指に付き、その手を口に入れることでウイルスが体内に入り込みます。感染者と手をつないだりキスをした場合も同様のリスクがあります。

ロタウイルスの潜伏期間と登園の目安

ウイルスに感染したときから発症するまでの期間を潜伏期間と言います。ロタウイルスの潜伏期間は、およそ2~4日とされています。発症後、通常であれば2~7日ほどで症状は治まっていきます。ただし、ロタウイルスに限らず、ウイルス感染症においては症状が治まってもウイルスの排出が続いていることが多く、この間は感染の危険があります。厚生労働省が定める登園の目安は、「解熱した後3日を経過するまで」となっています。これは、解熱した日は日数に数えず、その次の日から3日間を経て登園するという意味です。施設によっては医療機関による登園許可証を必要とするところもあるので、わからないときは問い合わせましょう。

ロタウイルスに感染したときの対処法

どんなに注意していても、ロタウイルスに感染してしまうことはあります。感染してしまった場合は、正しい対処で早い治癒を目指し、感染の拡大を防ぐよう努めることが大切です。ここでは感染した場合の対処法と汚物の処理方法について説明します。

ロタウイルスにかかったときの治療と看護の仕方

ロタウイルス感染症には薬などによる治療法がなく、栄養や水分補給を行いながら自然治癒を待つことが基本です。ロタウイルスにかかったときの家での対処法は、脱水を防ぐための水分補給や体力を消耗しないように栄養を補給することが中心となります。脱水症状がひどくなると点滴や入院が必要になることもあるので、注意してください。下痢止め薬(止しゃ薬)は病気の回復を遅らせることがあります。医師の指示がない限り、使用は控えましょう。

感染を広げないための正しい汚物処理

ロタウイルスは、患者の便から大量に排出されます。便を処理した後は、たとえ十分に手洗いをしても手や爪に数億個ものウイルスが残っていることがあり、そこから感染が広がることが多いです。感染を広げないためには、オムツの適切な処理や手洗いの徹底が必須です。

オムツを交換するときは使い捨てのゴム手袋などをはめ、オムツはポリ袋などに入れて捨てましょう。そのまま捨てるとウイルスが空気中に漂うので、必ず心がけてください。手洗いは、指輪や時計などの装飾品ははずし、せっけんで30秒以上もみ洗いします。正しい手洗いの具体的な方法については、『インフルエンザの感染・発症を予防する5つの対策』をご覧ください。

便や嘔吐物で汚れた衣類は、家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)でつけおき消毒し、他の衣類とは分けて洗濯しましょう。ロタウイルスにはアルコールなどの消毒薬はあまり効果がないので、注意してください。

ノロウイルス感染症との見分け方と検査方法

胃腸炎や下痢を引き起こす主な感染症には、ロタウイルス以外にノロウイルス感染症もあります。それぞれがどう違うのか、見分け方と、病院での検査方法についてお伝えします。

ノロウイルス感染症の特徴

流行時期
一年を通じて感染の可能性はありますが、通常は11月ごろから流行が始まり、12~2月にピークを迎えます。ロタウイルスの流行のピークはそれよりも少し遅れて2~3月に見られる場合が多いです。
かかりやすい年齢
ノロウイルス感染症は乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で確認されます。ロタウイルスは主に乳幼児です。
主な症状
嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。基本的にはロタウイルスと似たような症状ですが、ノロウイルスでは「胃をひっくり返すような」と表現される強烈な吐き気や嘔吐が突然起こるのが特徴とされます。
ウイルスの感染力
ロタウイルスと同様、感染力は非常に強力です。ノンエンベロープウイルスという点も同じです。
感染経路
ノロウイルスの主な感染経路は経口感染ですが、ロタウイルスと同じ接触感染のほか、感染者の吐物が乾燥して生きたノロウイルスを含んだままダストとなり、それを非感染者が吸い込んで感染する経路も知られています。
潜伏期間
0.5~2日です。ロタウイルスは2~4日なので、感染から発症まではノロウイルスの方が早い傾向にあります。

感染性胃腸炎の検査方法

便を用いた診断検査(イムノクロマト法)があります。結果は15~20分程度で判明します。一定の条件が整えばこの検査には健康保険が適用されますが、検査自体の精度の問題もあり、あくまでも診断の補助材料として、医師が必要と判断した場合にのみ実施されます。

まとめ

ロタウイルスは感染力の強いウイルスであるため、予防接種や手洗いなどでしっかり予防する必要があります。それでもかかってしまった場合は、適切な処置をほどこし、重症化しないように、そして感染を広げないように正しく対処しましょう。

参考文献

・厚生労働省 ロタウイルスに関するQ&A http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/

・厚生労働省 保健所における感染症対策ガイドライン http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku02.pdf

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