インフルエンザ
2018.01.31

インフルエンザは食事や免疫で防げる?発症のメカニズムと対策

インフルエンザは、意識的に予防すれば感染率を下げられる場合もあります。ポイントは、正しい予防と体調管理。インフルエンザウイルスから体を守るためにも、発症のメカニズムを知って正しい対策を心がけましょう。

インフルエンザが流行する時期になると、自分はもちろん、家族など身近な人の感染も心配になるものです。感染や発症をできるだけ防ぐには、どうすればいいのでしょうか。発症のメカニズムを知り、予防のポイントを押さえて健康な日々を送るサポートをしましょう。

どうしてインフルエンザになるの?

なぜ、人はインフルエンザなどの感染症にかかるのでしょうか。そのメカニズムを知っておくと、これからお伝えする予防方法の目的や意義がわかりやすいでしょう。まずは、インフルエンザに感染・発症する理由について説明します。

インフルエンザに限らず、さまざまな感染症は人側と微生物側(ウイルスや細菌など、感染症を引き起こす病原体)の攻防の結果として起こります。人の体には、異物からからだを守る仕組みである免疫が備わっています。しかし、病原菌の繁殖やウイルスの汚染速度に免疫機能が追いつかないなど、なんらかの理由で人側が負けてしまうと、感染症にかかってしまいます。

免疫には、その役割によってさまざまな細胞が存在しますが、大きくは自然免疫と獲得免疫に分類されます。
自然免疫とは、常に体の中をパトロールし、ウイルスに感染した細胞や細菌などの病原体を見つけると攻撃して排除する役割を持つ免疫細胞です。対して獲得免疫は、自然免疫では感知できない特殊な細菌やウイルスを見つけ、それを記憶することで、次に同じものが入ってきたときに即座に撃退に向かえるようプログラムされている免疫細胞です。インフルエンザウイルスは特殊なものに入るので、獲得免疫が働くことで感染の予防が期待できます。予防接種は、獲得免疫にウイルスの型を覚えさせるための行為です。よって、予防接種を受けておくと感染しにくくなるというわけです。

しかし、インフルエンザウイルスは非常に変異しやすいウイルスであるため、一度感染して免疫がついたり、予防接種を受けて免疫をつけたとしても、少しでも違う型に変異してしまうと獲得免疫が感知できず、感染の可能性が高くなってしまいます。インフルエンザが毎年流行する背景には、このような要因があるのです。

インフルエンザ対策!生活で心がけたい3つのポイント

このように、インフルエンザは予防が難しいウイルスですが、感染率を下げるにはどうすればいいのでしょうか。もっとも大切なのは、できるだけウイルスを体内に入れないことです。まずは、そのために心がけたい生活上のポイントをご紹介します。[1]

咳エチケットの徹底

インフルエンザの感染率を下げるには、第一に咳エチケットを徹底することが大切です。インフルエンザの主な感染経路は、飛沫(ひまつ)感染です。これは、ウイルスに感染した人の咳やくしゃみ、つばなどの飛沫と一緒に放出されたウイルスを吸い込み、口(=のど)や鼻からウイルスが入り込むことで起こる感染です。

そのため、流行時はできるだけ人ごみを避け、外出時はマスクを着用しましょう。また、自らに咳やくしゃみの症状が見られるときは、感染を広げないよう咳エチケットを守りましょう。咳やくしゃみが出るときはマスクやティッシュ、ハンカチなどで口元を押さえ、人がいる場所から顔を背けましょう。1m以上距離をとれれば、なおいいです。

手洗いとうがいの徹底

手洗いやうがいは、ウイルスを物理的に取り除く行為となります。一般的な感染症の予防として推奨されているので、こちらも徹底しましょう。特に、外出から帰ってきた直後と食前には必ず行うことをおすすめします。

※正しい手洗いの方法については、『インフルエンザの感染・発症を予防する5つの対策』をご覧ください。

室内温度と湿度の調整

インフルエンザウイルスは、寒くて乾燥した場所を好みます。よって、予防のためには室温と湿度を適度に保つことも大切です。特に冬は乾燥しやすいので、加湿器などを活用し、常に湿度を50~60%に保ちましょう。マスクには喉(のど)の乾燥を防ぐ効果もあるので、このような理由からも外出時の着用をおすすめします。

ワクチンの接種も有効

生活上の注意点を守るとともに、予防接種ワクチンによってインフルエンザに対する免疫をつけると、より高い予防効果が期待できます。これは、たとえウイルスが体内に侵入してしまっても、発症を防げる可能性があるためです。

インフルエンザの感染・発症は、インフルエンザウイルスが口や鼻から体の中に入ってくることから始まります。体の中に入ったウイルスは次に細胞に侵入して増殖します。この状態を「感染」と言いますが、ワクチンはこれを完全に抑える働きはありません。ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て発熱や喉の痛みなどのインフルエンザの症状が起こります。この状態を「発症」といいます。ワクチンには、この発症を抑える効果がある程度認められています。つまり、先に説明した獲得免疫にインフルエンザウイルスの型を覚えさせることで、症状が現れる前に入りこんだウイルスを撃退できるというわけです。

また、たとえ発症を押さえられなかったとしても、ワクチンにはインフルエンザの重症化を予防する効果があります。実は、これがインフルエンザワクチンのもっとも大きな効果と言えます。発症後、多くの場合は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症などの重い合併症が現れ、入院治療を必要とする場合や、まれに死亡する場合もあります。これを、インフルエンザの「重症化」と言います。特に、基礎疾患がある場合や高齢など、免疫力が低下しやすい方は重症化する可能性が高くなるので、ワクチンの接種を受けておくことをおすすめします。

このように、インフルエンザワクチンは接種すればインフルエンザに絶対にかからないというものではありませんが、ある程度の発病を阻止する効果があり、また、たとえかかっても症状が重くなることを阻止する効果があります。ただし、この効果も100%ではないことに留意してください。インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて製造されていますが、まれに推測が外れる場合もあります。また、流行していない他の型に感染する場合もあります。まれなケースなので、受けておくメリットの方が大きいのは確かです。

ちなみに、季節性インフルエンザワクチンでは、これまでの研究から、ワクチンの予防効果が期待できるのは接種した(13歳未満の場合は2回接種した)2週後から5か月程度までと考えられています。効果の持続期間や年によって流行する型が変わる場合があるという点を考慮しても、インフルエンザの予防ワクチンは毎年受けておくことをおすすめします。

感染防御力をつけておくことも重要

ここまで、インフルエンザの感染率を下げるためのもっとも大切なポイントをまとめましたが、この予防効果を最大限に発揮するには、日ごろから体調管理を心がけ、ウイルスへの抵抗力(=免疫力)をつけておくことが大切です。免疫力をつける要素には、規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動などさまざまなものがありますが、バランスのよい食事も大切な要素のひとつです。厚生労働省でも、インフルエンザの予防のひとつとして十分な休養とバランスのよい食事を推奨しています。ここからは、体調管理につながる食生活のポイントをご紹介します。

体調管理にはバランスのよい食事が第一

体は、さまざまな栄養素で成り立っています。基本となる炭水化物、タンパク質、脂質に、ビタミン、ミネラルも含めた5大栄養素はもちろん、その他体によいといわれる栄養素や成分もすべて含め、健康が維持されます。でも、何をどれぐらい摂ればいいか、考えながら食べるのは難しいですよね。おすすめは、できるだけたくさんの種類の食材を食べることです。主食となる炭水化物はもちろん、肉類、魚類、野菜類、果物類、海藻類と、さまざまな種類の食材を、1日の献立にできるだけバラエティー豊かにとり入れましょう。毎食すべての種類を食べようとすると大変なので、朝は炭水化物と野菜、果物を多めに、昼は肉類を摂取、夜は魚と海藻を意識的になど、1日のトータルとして考えるといいでしょう。

ちまたには体によいといわれる栄養素の情報があふれています。もちろん嘘ではありませんが、だからといってそればかり摂っていては意味がありません。あくまでもバランスよく摂ることで、体のさまざまな機能がうまく働くということを忘れないようにしましょう。

インフルエンザの予防効果が期待されている栄養素がある?

まだ研究が進められている段階ではありますが、特定の乳酸菌においては動物実験やヒト試験により、インフルエンザを予防するある程度の効果が認められているものがあります。代表的なものには、R-1乳酸菌(1073R-1)、モラック乳酸菌(MoLac-1:モラック・ワン)、クレモリス乳酸菌(クレモリスFC株)、プラズマ乳酸菌(JCM5805)などがあります。バランスのよい食事を基本に、このような乳酸菌が含まれる製品をとり入れれば、あるいは予防のサポート効果が期待できるかもしれません。

まとめ

インフルエンザの感染・発症を予防するには、手洗いや咳エチケットの徹底など、生活の注意点を守ることがもっとも大切です。そのうえで、できれば予防接種を受けて発症の確率を下げ、重症化を防ぎましょう。また、予防効果を発揮させるには、日ごろから免疫力を低下させないような生活を意識することも大切です。バランスのよい食事や適度な運動、十分な時間と質のよい睡眠で常に体調を整え、ウイルスに負けない体作りも心がけてください。

参考文献

  1. [1]インフルエンザの基礎知識 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/file/dl/File01.pdf

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