インフルエンザ
2017.11.30

インフルエンザの予防効果が期待されるヨーグルト

インフルエンザをはじめとする感染症予防として、免疫細胞を活性化することができる「乳酸菌」を含むヨーグルトに注目が集まっています。ヨーグルトを食べることで、どうして感染予防につながるのでしょうか。詳しく説明します。

風邪(かぜ)やインフルエンザなどの感染症の予防に、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が効果的といわれています。それは本当なのでしょうか。乳酸菌に期待される効果と、そのメカニズムについて説明します。

インフルエンザ予防にヨーグルトがよいとされる理由

乳酸菌には整腸作用があります。腸管には体内の免疫細胞のおよそ6~7割が集っているので、腸内環境を整えることは免疫力をつけるうえでとても大切になります。

乳酸菌は、ビフィズス菌と並ぶ善玉菌の代表格です。腸内には善玉菌と悪玉菌、日和見菌が存在しますが、腸内環境を整えるには善玉菌が優勢にならなければなりません。善玉菌が優勢になると、免疫細胞を活性化させるサイトカインという物質が分泌されます。すると、腸管のリンパ球が活性化され、体の免疫力を高めてくれるのです。

リンパ球の中には、ウイルスと戦うNK(ナチュラルキラー)細胞も含まれます。これは、血流にのって体を巡り、ウイルスに犯された細胞を見つけると退治のために働きます。ヨーグルトに含まれる乳酸菌がインフルエンザなどの感染症の予防に効果的といわれるのは、このためです。

インフルエンザの予防効果があるとされる乳酸菌の種類

乳酸菌にはさまざまな種類がありますが、中でも、特にインフルエンザなどの感染症予防に効果的とされる乳酸菌があります。主なものをご紹介しましょう。

クレモリス菌FC株

もともとカスピ海付近の地方で食べられていた自家製ヨーグルトに含まれる菌です。EPSと呼ばれる人の消化液に分解されない性質を持つ物質を産生できるので、生きたまま腸に届くことで知られています。高い整腸作用を持ち、インフルエンザなどの感染症の予防効果だけでなく、アレルギー症状の改善効果や中性脂肪・血糖値上昇の抑制作用もあることが、動物やヒトでの研究で明らかになっています。クレモリス菌が産生するEPS(粘り成分)により、粘り気のあるヨーグルトになるのが特徴です。[1][2][3]

R-1

正式には1073-R1株と呼ばれます。免疫機能を活性化することで 、風邪の罹患率を減少させたという試験結果が出ています。固形のヨーグルト以外に、飲むヨーグルトとしても販売されています。[4]

プラズマ乳酸菌

主にNK細胞の活性化に作用することで免疫機能の向上につなげる他の乳酸菌とは違い、免疫細胞の司令塔である樹状細胞に作用することで、免疫細胞全体を活性化させる働きがあるとされる乳酸菌です。[5]

ウイルスや細菌と戦う免疫細胞には、NK細胞以外にもT細胞やB細胞などさまざまなものがあります。一般的な乳酸菌は、主にNK細胞の活性化に作用しますが、プラズマ乳酸菌は樹状細胞(さまざまな免疫細胞の活性を促す司令塔とも言える細胞)を活性化させることで、NK細胞以外の免疫細胞も活性化させることが可能とされています。そのため、インフルエンザなどの感染症を予防する、より高い効果が期待できるといわれています。事実、インフルエンザ罹患率を減少させたという試験結果も報告されています。固形、飲むヨーグルト、乳酸菌飲料、サプリメントとして販売されています。

ビフィズス菌BB536

健康な乳児の体内から発見されたビフィズス菌です。生きたまま大腸に届き、整腸作用だけでなく、アレルギー予防、ウイルス感染予防や潰瘍性大腸炎を緩和する作用もあるといわれています。固形、飲料の他にサプリメントも販売されています。[6][7]

ガセリ菌SP株

免疫力を向上させ、A型インフルエンザのウイルス増殖抑制、肺の炎症抑制効果が認められた試験結果が報告されています。[8]

まとめ

現在発売されているヨーグルトの中には、整腸作用だけでなく、免疫機能の活性化が期待できるものもあります。実際に、感染症の予防効果が研究結果により示されている乳酸菌も増えてきています。ヨーグルトをうまく活用して体の抵抗力を高めることも、インフルエンザ予防策のひとつと言えるでしょう。ただし、ヨーグルトだけで完全に予防できるわけではありません。あくまでも、免疫機能の向上につなげ、予防効果を高めることが期待できるだけであることを忘れないようにしましょう。また、冷たいヨーグルトは胃腸に負担をかけてしまい、下痢などが起こる場合や、ヨーグルトに含まれる添加物が体に合わないこともありますので、食べ過ぎには注意し、食べ方も工夫してください。自分に合った乳酸菌を選ぶことも大切です。いろいろと試してみて、自分の体に合ったものを見つけましょう。

参考文献

  1. [1]「カスピ海ヨーグルト」のクレモリス FC 株がプロバイオティクス乳酸菌であることを証明 https://www.fujicco.co.jp/cms_news/news/upload/pr_20060323_2.pdf
  2. [2]Lactococcus lactis subsp. cremoris FC 株(クレモリス FC 株)含有発酵乳の健常高齢者の排便状況と糞便内菌叢および免疫系におよぼす影響 http://www.caspikai.net/caspikai/research/pdf/0111.pdf
  3. [3]「カスピ海ヨーグルト」の粘り成分が炎症性物質を低減する https://www.fujicco.co.jp/cms_news/news/upload/rd_20150824.pdf
  4. [4]乳酸菌による「免疫機能」調整作用と「ピロリ菌」抑制作用  http://www.nyusankin.or.jp/scientific/pdf/Nyusankin_484_a.pdf
  5. [5]乳酸菌による「免疫賦活」効果 http://www.nyusankin.or.jp/scientific/pdf/Nyusankin_487_a.pdf
  6. [6]ビフィズス菌 BB536 の長期摂取による幼児の風邪症状の発症および罹患日数に対する改善効果 https://www.morinagamilk.co.jp/download/index/19194/170315.pdf
  7. [7]ビフィズス菌 BB536 含有ヨーグルトの摂取による大腸がんリスク要因と考えられている毒素産生型フラジリス菌に対する除菌作用 http://www.morinagamilk.co.jp/download/index/1664/110706a.pdf
  8. [8]【ガセリ菌SP株の効果】内臓脂肪低減のほかにも、インフルエンザに対する防御機能を有することをヒト試験で確認 http://www.meg-snow.com/news/2015/pdf/20151029-1132.pdf

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